すすむ開発計画

上郷猿田地区開発計画

過去にもこの緑地の森を伐採し埋め立てる開発計画がありましたが、周辺住民や市民の保全活動(9万2千筆の署名が集まる)により横浜市は事業者(東急建設株式会社)の計画提案を正式に拒否し、開発は認可されませんでした。しかし2014年1月、再び事業者から大規模開発計画案が市に提出され、横浜市が「バランスの取れた計画」としてこの案を容認し横浜市の都市計画素案となりました。前回の計画より開発面積は縮小したとはいえ、市道西側の谷戸の全てを市街化調整区域から市街化区域へと変更し、住宅や商業・医療・福祉施設等に変え、東側の谷戸の一部も周回道路・飲食店等に変えようとする計画です。

今年度、開発か保全かの方向性が確定されます。横浜市は都市計画案に対する市民の意見書を募集し、都市計画案と市民から提出された意見のまとめを都市計画審議会に提示して、審議会からの答申を得る(意見を得る)予定です。市長はこの答申を基に、開発の是非を判断します。

2007
東急建設株式会社が横浜市へ、市街化調整区域(市街化を抑制すべき場所)の緑地約32ヘクタール(東京ドーム約7個分)の開発計画を提案。
2008
反対署名が9万2千筆集まる。横浜市は開発提案を認めず。
2009
現横浜市長、林文子氏が初当選。
2014
東急建設株式会社は再び横浜市へ、宅地や商業・医療・福祉施設などの大規模開発計画を提案。これに対し反対署名が11万筆余り集まる。
2015
よりきめ細やかな緑地保全のために市街化区域への線引き変更権限を県から移譲されたにもかかわらず、横浜市は大規模開発計画を容認。
2016
整開保と線引き変更の公聴会開催(反対全員、賛成ゼロ)
2017
公聴会 横浜市栄区上郷町猿田地区における区域区分の変更等について「都市計画素案」(1/17開催済 公述人11名のうち、反対6、賛成5) → 都市計画市案縦覧、意見書の募集 → 都市計画審議会を経て横浜市長が最終決定(2017年度末)という流れになる。
❶ 民意に反する計画
開発反対署名11万7千筆中2〜3万人は周辺住民によるものです。
❷ 自然環境の悪化

横浜市の緑は減り続けています。

❸ 生活環境の悪化

深刻なヒートアイランド化により横浜市の気温上昇はこの100年で2.8度。他の中小都市より1.3度高い数値です。そして人口は減少し空き家は増加の傾向です。

❹ 行政(都市計画)的に問題
開発対象地である「市街化調整区域」は本来、市街化を抑制すべきエリア。(都市計画法第7条)2015年、都市計画に関する権限の一部が神奈川県から横浜市に移譲されたことを機に、「市街化調整区域」から開発可能な区域へ大幅な変更を計画しています。
また、緑地を保全し増やすため横浜市は2009年度から「横浜みどり税」を徴収しています。市域の緑の減少に歯止めをかけ、緑豊かなまち横浜を次世代に継承するために、「樹林地を守る」「農地を守る」「緑をつくる」の3つの分野からなる横浜みどりアップ計画の新規・拡充施策に取り組んでいながら、一方で大きな緑地を開発により失おうとしています。
❺ 歴史的文化遺産の喪失
縄文後期と奈良時代の住居跡が発掘された上郷猿田遺跡や深田製鉄遺跡、江戸道など貴重な歴史的文化遺産が喪失します。